第16話
天邪鬼の理
時は文久三年(1863年)、七月。廃寺となっている瑞穂寺に、人を食う鬼が出るという噂を耳にした甚夜。寺を訪れてみると、白銀の狐の鬼が住み着いていた。甚夜が「夕凪」と名乗るその鬼を斬り、喰らうと、遠くから赤ん坊の声が聞こえてくる。世が明けていつものように喜兵衛に足を運ぶと、「夕凪」という名の女が甚夜の帰りを待っていた。
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鬼人幻燈抄
時は天保十一年(1840年)。 大飢饉により人心が乱れた世において、 鬼が人の姿に化け、 戯れに人をたぶらかすようになっていた。 江戸の街から遠く離れた 山間の集落・葛野(かどの)。 この集落に、甚太と鈴音という兄妹が暮らしていた。 幼い頃に、 ある理由から葛野に来たよそ者の二人だったが、 皆に受け入れられ仲睦まじく日々を過ごしていた。 集落には、「いつきひめ」と呼ばれる巫女がおり、 成長した甚太は巫女の護衛役を務めるように。 そしてある日、甚太は鬼の討伐に赴いた森で、 遥か未来を語る不思議な鬼に出会う―― 巫女の護衛役として死と隣り合わせの甚太、 その身を心配しつつも 健気に明るく兄を送り出す鈴音、 巫女「いつきひめ」として責務を果たす中、 鬼に命を狙われる白夜。 三人の運命の歯車が重なり、そして狂う時。 人と鬼、 長きに渡り時代をも巻き込む大きな災いが降り注ぐ。 江戸から平成へ。 刀を振るう意味を問い続けながら 百七十年という途方もない時間を旅する 鬼人の物語を描く、 和風大河ファンタジー。
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